粉石けんへの道(ガイドライン)
粉石けん(助剤入り)への道
お洗濯用の石けんを手作りしたい、更に敢えて粉にしてみたい、という一手間かけるのが苦にならない方へ、作り方ナビです。
油(新品、きれいな廃油、ディープ廃油)、固形石けん(廃油石けん、端っこ、チビ、オールド、失敗作)のリバッチをスタート地点にしています。
お手持ちの石けんや油により、適当な方法をみつけてくださいませ。
(文字ばかりの長文です。また一部工事中です)
私のトライアル記事(失敗気味含む)を覗き見したい方は→ 「粉石けん・リバッチ石けん」カテゴリーへどうぞ
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【炭酸ソーダについて】
アルカリ助剤、石けんを粉にする際の乾燥助剤として炭酸ソーダ(炭酸ナトリウム、ソーダ灰、炭酸塩)を使います。
炭酸ソーダは(サラサラした粉であっても)結晶水の形で水分をもっていることがあり、無水塩、1水塩(1水和物)、7水塩(7水和物)、10水塩(10水和物)等の種類があります。粉石けんを作るのには水分を吸い取る力のある無水塩、1水塩が最適です。
石けんメーカーではエスケーの「すっきり炭酸ソーダ」 (他メーカーのものは確認できていません)。ネットなどで小分け販売されている場合には食品添加物規格のものが無水塩です。
【粉砕する道具について】
ミルサー、フードプロセッサーなど、粉にする電気製品をお持ちなら使うことができます。1回に作る量が多いときには各機器の連続使用時間に注意してください。電気の力を借りられないときにはすり鉢かな・・・。
使用後は水につけおきする、ブラシで細部まで洗うなどして石けんをよく落としてくださいね。
・炭酸塩を混ぜた石けんを乾燥する際に、できるだけ事前につぶしたり揉んだりして小さくしておくとよいです。
・一度ざっと粉砕したあと粗めのザルなどでふるい、残った大き目の粒だけ(石けんだけの粒の可能性があるので若干炭酸塩を足しつつ)を再度粉砕すると機械に負荷がかからず作業が早いです。
・粉砕の作業中は非常に粉が舞います。くしゃみが出ます! マスクをしたほうが良いかもです。
【塩析について】
ナトリウム石けんは電解質(塩など)の水溶液には溶けにくいという性質を利用して、塩水の中に石けん中の汚れを洗い出す手法です。
詳しくはまた別の記事でまとめたいと思います。
紹介している手順では「食塩」「精製塩」として売られている純度の高い塩化ナトリウムを使用します。1kgで100円程度の安いものです。精製されていないあら塩、海塩、岩塩等は豊富に含まれるミネラル(マグネシウム、カルシウム)が金属石けん(要するに石鹸カス)になるので使いません。重曹や炭酸ソーダも電解質のため塩析効果はありますが、塩化ナトリウムのほうが作用が強くなります。(当然苛性ソーダでも塩析できます。余談ですが、鹸化の際に濃厚苛性ソーダ水溶液を使うと生成した石けん分が塩析されて乳化作用を発揮しないために反応の立ち上がりが遅くなる傾向があるそうです。)
【洗濯石鹸の原材料油脂について】
サラダ油、キャノーラ油、米油、大豆油やヤシ油、ハイオレイン系の油などから作られた石けんは比較的低温でもよく溶けて泡立ちもよい、使いやすい粉石けんになります。揚げ物廃油は粉石けんに向いている素材といえますね。
しかし牛脂、豚脂、パーム油、バター類などの石けんは温水でないと溶けにくく、低温では洗浄力も発揮できません。泡立ちは小さい傾向にあります(温度が十分であればすばらしい洗浄力を発揮します。また脂肪酸ごとの性質としての泡の大きさと洗浄力とは直接関係ありません)。
したがって、粉石けんに限らず、パームやバター類を多めに配合した石けんをお洗濯に使うときは、お風呂の残り湯を冷め切らないうちに使うなど、石けんの性質に合った使い方をできるよう気をつけてください。
【できあがった粉石けんについて】
・かなりサラサラの粉石けんになりますが、溶けやすさを工夫して粒径をそろえたり顆粒に空気を含ませたりしている市販品と違い、石けんそのものの固い粒がかなりの割合で残ります。このような「小さい固形石けん」は溶け切るのに若干時間がかかるので、お湯であらかじめ溶かす、目の細かいネットに入れてから洗濯機に入れて溶かし込む、など、溶け残りが出ないように少し気を使う必要があります。
・また逆に非常に細かい粉もできてしまうため、乱暴にふたを開けたりすくったりすると粉飛びすることがあります。やさしい気持ちで使ってくださいね。
・一見サラサラでも市販の粉石けんよりも水分を多く含有しています。紹介しているつくり方では混ぜ込んだ炭酸塩に石けんの水分を吸わせて乾燥を進めているためです。したがって重量で市販石けんの2割り増しくらいを目安に加減して適量を見つけてください。
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【粉せっけんの作りかたナビ】
■□■油から■□■
■新品の油、比較的きれい・匂いの少ない廃油(塩析不要と判断)
・水分40-50%、鹸化率100-102%、ホットプロセスで石けんを作る。
・ホットプロセスの終了時、マッシュポテト状の石けんタネに元の油の40%の重量の炭酸ソーダを加えてよく練りこんだあと、乾燥させて粉砕する。
参考→ 粉石けんの作り方 へ
■ディープ廃油(濃色、食材の臭いあり。塩析で精製したい場合。)
※強い酸化臭のするものはあとで洗濯物に臭いが出る可能性があり、お勧めしません。
・水分40-50%、鹸化率100-102%、ホットプロセスで石鹸を作る。
・ホットプロセスの終了時、温食塩水で塩析する。
・必要なら2回目、3回目の塩析。
・更に塩が気になるなら氷水洗浄か仕上げ煮。
・温めて軟らかくした塩析石鹸にはじめのオイルの40%ほどの炭酸ソーダをよく混ぜ合わせ、乾燥させてから粉砕する。
参考 ↓ ↓廃油・塩析石けんの作り方 全4回 へ
- その1 : 作業フローチャート、道具
- その2 : step-1)ホットプロセスで石けん化、塩析1回目
- その3 : step-2) 塩析2回目・塩抜き(必要なときのみ)
- その4 : step-3) 仕上げ: 粉石けん化 or 固形石けん化
■□■すでにある固形石けんから■□■
■[過剰油脂あり・塩析あり]手作り石けんの、切れ端、チビ、在庫処分
・乾燥した石けん100グラムにつき 2グラムの苛性ソーダを3倍量の水に溶かす。
・削った石けんの8割~等量程度の熱湯で石けんを溶かし、苛性ソーダ水を足してリバッチする。
・リバッチ終了後、塩析。必要なら氷水洗浄または仕上げ煮
・温めて軟らかくした塩析石けんにはじめの石けんの40%重量の炭酸ソーダを混ぜ合わせ、乾燥させてから粉砕する。
参考 :
リバッチまでは実験記事→ 「お鍋で塩析 リバッチ粉石けん-4」へ
塩析・粉石けん化のまとめは「廃油・塩析石けんの作り方」記事のやり方のほうが最新です。
→その3 : step-2) 塩析2回目・塩抜き(必要なときのみ)
→その4 : step-3) 仕上げ: 粉石けん化 or 固形石けん化
■[過剰油脂なし・塩析あり] 廃油石けん、固形石けん
・上記[過剰油脂あり]の要領で削った石けんをお湯で溶かし、塩析後粉石けん化
参考 : 「廃油・塩析石けんの作り方」、塩析と仕上げの記事へ
→その3 : step-2) 塩析2回目・塩抜き(必要なときのみ)
→その4 : step-3) 仕上げ: 粉石けん化 or 固形石けん化
■[過剰油脂なし・塩析不要] 固形石けん
※これはそのままジェルソープなどにして(助剤の炭酸ソーダは直接水に加えて)洗濯に使えばよいものです。
敢えて粉にするなら、削った石けんを温めて溶かし、石けんの40%の炭酸ソーダを加えて粉石けん化を。
参考 → 「廃油・塩析石けんの作り方 その4 : step-3) 仕上げ: 粉石けん化 or 固形石けん化」 へ
■□■塩析石けんの応用編(粉石けん(助剤入り)以外)■□■
■固形石けんにする
キッチンソープ、ボディ用にも?
・塩析した石けん(氷水で洗ったときはよく水を切ったもの)をある程度細かくし、均一にあめ色になるまで電子レンジにかける(破裂するので10-20秒ごとに様子を見ながら)
・軟らかくなったタネを熱いうちに型に詰め込んで冷ます。
・冷めたら型出しし、使うことができる。
※塩の残り具合で塩水の汗をかくことがあるので紙の上などにおいて数日寝かすといい。
参考
→「廃油・塩析石けんの作り方 その4 : step-3) 仕上げ: 粉石けん化 or 固形石けん化 」へ
→実験記事「塩析石けんを固形石けんにする」へ
以上!
この記事へのコメント
会社でけっこう石鹸を使うので、廃油石鹸作ってみたいので、とっても参考になります。
とってもわかりやすいです。
いつか洗濯石鹸を・・・と思いつつなかなか手が出ません。
でも、いつか作るぞーという気になりました。
頑張りまーす。
新人なのでまだよく分かりませんがきっといつの日か
チャレンジしようと思います。
プリントアウトしてファイルしなければ!
今乾燥させているのでもう少ししたらUPしたいと思います。
次回は廃油をホットプロセスで石けんにしていきなり塩析に挑戦しようと考え中です。
「ゆりくま・ガイドライン」
があればきっと出来そうな気がします♪
少し前、わたしもゆりくまさんのレポートを参考に廃油→、手作り石けん→洗濯粉石けんを途中ブレンドで作ってみました。
それなりの、ちょっと黄色い洗濯石鹸ができました。
汚れ落ちもよいですよ~。
作る楽しさ<めんどくささ
のわたしには、ちまちま端っこ石けんが集まったら作るくらいが丁度よいくらいかな。
でも、もう少しでなくなるんだよな・・・。洗濯石鹸。買うと高いし・・・。
■バビさん
比較的きれいな廃油なら、固形でも粉でも塩析しなくて十分使えますよ。
ウチは廃油が出ないのでどうしてももらいモノになるとディープ化しちゃうんですけどね~。
■tanukipandaさん
はじめまして。勇気を出して書き込んでくださってありがとうです。
実際問題、固形からでもお洗濯はできるので無理に粉にする必要はないんですが、見ちゃうと一度くらい試してみたくなるでしょ?
そして普通に使えてしまうと止められなくなるんです・・・
材料が溜まったらぜひお試しください。
■ややさん
ここはまだプリントしなくてよいですよ! ナビだし。
そのうち使いきれない石けんが溜まってきますから、消化策のひとつとして覚えておいていただければ幸いです。
■nadesikoさん
廃油石けん、楽しみですね。ちゃんと使えるといいですね。
upをお待ちしております~。
■よこやんさん
塩析だけで廃油の色を取り去るのはなかなか難しいですね。
まあ実用上の問題はないんですが。
作る楽しさ<めんどくささ
でも洗濯石鹸がほしい、なら
ライト廃油 →ホットプロセス → いきなり粉石けん化
が最も早いように思います。
ウチではライト廃油はなかなか難しいんですが、近所の超激安スーパーで賞味期限の残りがあと1ヶ月なんていうサラダ油を投売りしていたりするので、アレを洗濯石鹸にしてしまうのはどうかと時々考えてしまいます。
あの楽しさって何なのでしょう・・。
ありがとうございました♪
私個人的には、見た目がどんどん変わるし、かなり豪快な作業で楽しいということと、廃油や処分したい石けんからシンプルで機能的なものができるっていうのが気持ちいいかな。
結構ハマりますよね。
ゆりくまさんは本当にすごい!
いつの日にか「石けんバイブル」出して欲しいです
↓のリバッチ(レンジ)石けんもなかなかシック
遺跡から出土したターコイズのブローチみたいです
この前石けんの接着用にネトネトにした石けんが残り
放っておいたら元に近い硬さで固まり、泡立ちも落ちませんでした
削り石けんの50%弱の熱湯を加えたのでかなり柔らかかったです
細かな型に入れたりOPを加えるならこれもいいなと思いました~
いやいや、受売りばかりです。
あのチェッカー石けんは妙なレトロ感があって気に入っています。
濡らしてすべすべにしたら更にいい感じになってますよ。FO入りで臭いけど。
石けんは水分が飛んでしまえばかなり簡単に復活するんですよね。
あまり水分が多いものだと乾燥したときに収縮して形がゆがむかもですが、細かいところに確実に流し込む作戦としては有効かもしれませんね、
重い腰を上げて塩析やってみたので、またまたリンクさせて頂きました~~
ご連絡ありがとうございます~
早速覗きにいっちゃいました。
私も色々勉強になります。
今後ともキビシイご意見よろしく!